出所前および出所後の刑事施設被収容者における結核治療の転帰

「要旨」 : 〔目的〕刑事施設より届出があった結核患者の治療成績を追跡し, 治療途中で出所した患者の転帰の実態の把握を試みた. 〔方法〕全国481保健所のうち, 管轄内に刑事施設が1カ所以上ある保健所を対象に郵送式アンケート調査を行った. 保健所が把握していた治療成績が「転出」だった患者に関しては, 収集した情報と当該年度の結核サーベイランスの年末時データを突き合わせ, マッチングできた場合に限ってサーベイランスによる「治療終了理由」を採用した. 〔結果〕対象患者数58人中, 治療期間中に刑事施設から出所した者は8人, 他施設に移動となった者は22人, 同施設で治療を開始, 終了した者は26人...

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Published in結核 Vol. 94; no. 5; pp. 361 - 365
Main Authors 河津里沙, 内村和広, 大角晃弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本結核病学会 15.05.2019
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ISSN0022-9776

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Summary:「要旨」 : 〔目的〕刑事施設より届出があった結核患者の治療成績を追跡し, 治療途中で出所した患者の転帰の実態の把握を試みた. 〔方法〕全国481保健所のうち, 管轄内に刑事施設が1カ所以上ある保健所を対象に郵送式アンケート調査を行った. 保健所が把握していた治療成績が「転出」だった患者に関しては, 収集した情報と当該年度の結核サーベイランスの年末時データを突き合わせ, マッチングできた場合に限ってサーベイランスによる「治療終了理由」を採用した. 〔結果〕対象患者数58人中, 治療期間中に刑事施設から出所した者は8人, 他施設に移動となった者は22人, 同施設で治療を開始, 終了した者は26人であった. それぞれの治療成功率は100%, 86.4%, および96.2%であった. 〔考察〕治療途中で出所した患者8人に関しては全て治療成功していた. 一方で患者の出所時・移動時の保健所への連絡は必ずしも十分ではなく, 改善の余地が見られた.
ISSN:0022-9776