アスリートの診療に携わる整形外科医を対象とした, 性同一性障害に対する知識と診療経験に関する検討

〔要旨〕「はじめに」: 近年, 性同一性障害に対する認識が高まっているが, スポーツ現場で活動する整形外科医は, 性同一性障害のアスリートに対する認知度やサポートのための知識, 日常診療やスポーツ現場で性同一性障害のサポート経験が少ない可能性がある. 「目的」: 本研究の目的は, アスリートの診療に関わる整形外科医を対象に1)性同一性障害に対する認知度や知識, 2)性同一性障害アスリートのサポート経験の有無を明らかにすることである. 「方法」: 千葉大学整形外科および関連病院に勤務し, アスリートの診療に関わる整形外科医を対象に質問票による調査を行った. 1)研究協力者背景: 性別, スポーツ...

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Published in日本臨床スポーツ医学会誌 Vol. 29; no. 1; pp. 48 - 54
Main Authors 貞升彩, 山口智志, 小野嘉允, 小川裕也, 赤木龍一郎, 佐粧孝久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床スポーツ医学会 31.01.2021
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ISSN1346-4159

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Summary:〔要旨〕「はじめに」: 近年, 性同一性障害に対する認識が高まっているが, スポーツ現場で活動する整形外科医は, 性同一性障害のアスリートに対する認知度やサポートのための知識, 日常診療やスポーツ現場で性同一性障害のサポート経験が少ない可能性がある. 「目的」: 本研究の目的は, アスリートの診療に関わる整形外科医を対象に1)性同一性障害に対する認知度や知識, 2)性同一性障害アスリートのサポート経験の有無を明らかにすることである. 「方法」: 千葉大学整形外科および関連病院に勤務し, アスリートの診療に関わる整形外科医を対象に質問票による調査を行った. 1)研究協力者背景: 性別, スポーツドクター資格の有無, 研究協力者が診療しているアスリートの競技種目, 2)性同一性障害, IOC Consensus Meeting 2015の認知率, 3)性同一性障害アスリートへのサポート経験の有無等を調査した. 「結果」: 研究協力者は男性65名, 女性5名だった. 研究協力者が診療しているアスリートの競技種目は, サッカー, ラグビー, 野球など多岐に渡った. 性同一性障害, IOC Consensus Meeting 2015の認知度は, 各86%, 6%だった. 11%が性同一性障害アスリートの存在を認識したことがあり, 1名は実際にサポート経験があった. 「まとめ」: 性同一性障害の認知率は2010年代の他の報告と同等だった. 少数ではあるが性同一性障害アスリートを認識またはサポート経験がある医師も存在した. 整形外科医に対する教育体制や, 各競技団体, またはスポーツ界全体でのサポート体制の構築が望まれる.
ISSN:1346-4159