腹壁浸潤を認めた脾原発悪性リンパ腫の1例

脾に原発する悪性腫瘍は比較的稀である.今回,われわれは,腹壁に直接浸潤を認めた脾原発悪性リンパ腫の1例を経験したので報告する.症例: 62歳,女性.平成10年1月より左側腹部痛,背部痛を自覚,時々37度台の発熱も認めていた.近医にて脾腫瘍を指摘され,紹介となった.入院時,肝脾触知せず,左側腹部に筋性防御を伴っていた.表在リンパ節は触知せず.血液検査では, LDH 611IU/l, CRP 3.30mg/dlの他には異常を認めなかった.画像所見にて,脾上極に8.5×5.0cm大の腫瘤を認め,左背側の腹壁,左横隔膜脚に連続していた. Gaシンチでは,脾臓と正中部背側に異常集積を認めた.腹壁浸潤を認...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 65; no. 2; pp. 497 - 500
Main Authors 近藤, 哲矢, 森, 美樹, 木村, 真樹, 小久保, 光治
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本臨床外科学会 25.02.2004
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.65.497

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Summary:脾に原発する悪性腫瘍は比較的稀である.今回,われわれは,腹壁に直接浸潤を認めた脾原発悪性リンパ腫の1例を経験したので報告する.症例: 62歳,女性.平成10年1月より左側腹部痛,背部痛を自覚,時々37度台の発熱も認めていた.近医にて脾腫瘍を指摘され,紹介となった.入院時,肝脾触知せず,左側腹部に筋性防御を伴っていた.表在リンパ節は触知せず.血液検査では, LDH 611IU/l, CRP 3.30mg/dlの他には異常を認めなかった.画像所見にて,脾上極に8.5×5.0cm大の腫瘤を認め,左背側の腹壁,左横隔膜脚に連続していた. Gaシンチでは,脾臓と正中部背側に異常集積を認めた.腹壁浸潤を認める脾原発悪性リンパ腫を疑い,平成10年6月2日,脾摘術を施行.病理検査でmalignant lymphoma, diffuse large, B cell typeと診断された.術後22日目より化学療法施行,一時軽快するも231日目死亡となった.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.65.497