上下顎歯列弓幅径の不調和を有し, CO-CRディスクレパンシーが大きい骨格性II級・開咬症例に対し, 正中2分割Le Fort I型骨切り術と下顎枝矢状分割術を施行した1例

「緒言」下顎骨の後方位に起因する骨格性II級・開咬症例の治療では, 上下顎前歯の挺出を最小限にし, 上下顎大臼歯部の圧下による下顎骨の反時計回りの回転によって前歯部被蓋を改善することが矯正治療後の安定性を高めるとされている. 具体的には上下顎骨切り術を併用した外科的矯正治療, もしくは矯正歯科治療のみで行うカムフラージュ治療の2つが挙げられるが, 骨格的な不調和が大きい場合や開咬量が著しい場合には外科的矯正治療を行ったほうが良好な側貌ならびに咬合を得られることが知られている. 骨格性II級・開咬症例は, 下顎頭の進行性の病変が原因である可能性があり, 顎関節部の精査は必須である. 顎関節の状態...

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Published in日本顎変形症学会雑誌 Vol. 33; no. 1; pp. 41 - 51
Main Authors 吉田侑加, 伊藤慎将, 犬伏俊博, 横山美佳, 宮川和晃, 関壮樹, 田中晋, 相川友直, 山城隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本顎変形症学会 15.04.2023
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ISSN0916-7048

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Summary:「緒言」下顎骨の後方位に起因する骨格性II級・開咬症例の治療では, 上下顎前歯の挺出を最小限にし, 上下顎大臼歯部の圧下による下顎骨の反時計回りの回転によって前歯部被蓋を改善することが矯正治療後の安定性を高めるとされている. 具体的には上下顎骨切り術を併用した外科的矯正治療, もしくは矯正歯科治療のみで行うカムフラージュ治療の2つが挙げられるが, 骨格的な不調和が大きい場合や開咬量が著しい場合には外科的矯正治療を行ったほうが良好な側貌ならびに咬合を得られることが知られている. 骨格性II級・開咬症例は, 下顎頭の進行性の病変が原因である可能性があり, 顎関節部の精査は必須である. 顎関節の状態によっては, 顎矯正手術の骨片移動量に制限を設けたり, 場合によっては手術の適応不可となることもある.
ISSN:0916-7048