心尖部心室瘤を合併した心室中部閉塞性肥大型心筋症の1手術例

心室中部閉塞性肥大型心筋症(MVO-HCM)は,心室中部に著明な壁肥厚をきたし左室内腔が砂時計状の所見を呈する特徴がある.症例は60歳,女性で12年前より心尖部肥大型心筋症と診断され,その経過中に心尖部心室瘤を合併したMVO-HCMに移行した.瘤壁は薄く心嚢液が貯留していたため,切迫破裂を疑い準緊急手術を行った.破裂の所見はなかったが,心室瘤を切除し,心室中部の肥厚した心筋壁にウマ心膜を当て,心室瘤入口部をパッチ閉鎖した.しかし,術後心尖部に仮性瘤を形成し,再手術を行った.肉柱間隙に別の交通孔が残存していたためであったがその原因は不明であった.術前診断,パッチの当て方,止血などに工夫を要したが...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 34; no. 5; pp. 365 - 369
Main Authors 松尾, 浩三, 龍野, 勝彦, 林田, 直樹, 山本, 正樹, 村山, 博和, 鬼頭, 浩之, 浅野, 宗一, 矢内, 桃子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 15.09.2005
特定非営利活動法人日本心臓血管外科学会
The Japanese Society for Cardiouascular Surgery
Subjects
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.34.365

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Summary:心室中部閉塞性肥大型心筋症(MVO-HCM)は,心室中部に著明な壁肥厚をきたし左室内腔が砂時計状の所見を呈する特徴がある.症例は60歳,女性で12年前より心尖部肥大型心筋症と診断され,その経過中に心尖部心室瘤を合併したMVO-HCMに移行した.瘤壁は薄く心嚢液が貯留していたため,切迫破裂を疑い準緊急手術を行った.破裂の所見はなかったが,心室瘤を切除し,心室中部の肥厚した心筋壁にウマ心膜を当て,心室瘤入口部をパッチ閉鎖した.しかし,術後心尖部に仮性瘤を形成し,再手術を行った.肉柱間隙に別の交通孔が残存していたためであったがその原因は不明であった.術前診断,パッチの当て方,止血などに工夫を要したが,術後18ヵ月の現在,瘤再発,心室性不整脈,左室機能低下などの合併症なく日常生活に復している.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.34.365