変形性膝関節症患者に対するエコーモニタリングを用いた内側半月板の突出を伴った内側側副靭帯へのステロイド注射の効果

「はじめに」変形性膝関節症 (以下膝OA) は, 高齢者の運動能力を低下させる頻度の高い疾患である. 吉村らの疫学調査では, 単純X線像で診断される膝OAの患者数は全国で2530万人と推定されている. しかし, 膝OAの痛みの原因については未だ不明な点が多い. Felsonらが指摘しているように膝OAは軟骨内のヒアルロン酸の含有量が減少する病理像が特徴であるにもかかわらず, 軟骨組織は痛覚に関する神経線維を有していない. Dieppeらは, 膝OAの痛みの原因は, 関節内よりも関節周辺組織の問題による可能性が高いと述べている. GaleらはMRIを用いた研究から変性した内側半月板が突出し, 神...

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Published in日本関節病学会誌 Vol. 30; no. 4; pp. 537 - 543
Main Author 戸田佳孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本関節病学会 2011
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ISSN1883-2873

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Summary:「はじめに」変形性膝関節症 (以下膝OA) は, 高齢者の運動能力を低下させる頻度の高い疾患である. 吉村らの疫学調査では, 単純X線像で診断される膝OAの患者数は全国で2530万人と推定されている. しかし, 膝OAの痛みの原因については未だ不明な点が多い. Felsonらが指摘しているように膝OAは軟骨内のヒアルロン酸の含有量が減少する病理像が特徴であるにもかかわらず, 軟骨組織は痛覚に関する神経線維を有していない. Dieppeらは, 膝OAの痛みの原因は, 関節内よりも関節周辺組織の問題による可能性が高いと述べている. GaleらはMRIを用いた研究から変性した内側半月板が突出し, 神経線維を豊富に含む内側側副靭帯 (以下MCL) を圧迫することが膝OAの疼痛の原因の一つであると報告している. MRIの代わりに診察室内で行える超音波診断装置 (以下エコー) を用いた研究でも内側半月板の突出に伴うMCLの圧迫が症候性膝OAの特徴的所見であることが報告されている.
ISSN:1883-2873