埼玉県の薬剤師のアンチ・ドーピング活動に関する調査

〔要旨〕平成25年度より薬剤師国家試験においてドーピング禁止物質に関する問題が出題されるようになったが, すでに地域医療に従事している薬剤師がどの程度アンチ・ドーピングに関わってきたのか明らかになっていない. そこで, 本研究は薬剤師のアンチ・ドーピングに関する現状の課題を明らかにすることを目的とした. 2017年5月10日から2017年9月20日の期間中, 埼玉県内の地域薬剤師会が実施している研修会に参加した薬剤師847名を対象にアンケート調査を実施した. スポーツファーマシスト(Sports Pharmacist: SP)を知っている薬剤師は全体の71.4%で, SPを知らない薬剤師は28...

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Published in日本臨床スポーツ医学会誌 Vol. 29; no. 1; pp. 14 - 21
Main Authors 小関恭子, 枝伸彦, 花岡裕吉, 赤間高雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床スポーツ医学会 31.01.2021
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ISSN1346-4159

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Summary:〔要旨〕平成25年度より薬剤師国家試験においてドーピング禁止物質に関する問題が出題されるようになったが, すでに地域医療に従事している薬剤師がどの程度アンチ・ドーピングに関わってきたのか明らかになっていない. そこで, 本研究は薬剤師のアンチ・ドーピングに関する現状の課題を明らかにすることを目的とした. 2017年5月10日から2017年9月20日の期間中, 埼玉県内の地域薬剤師会が実施している研修会に参加した薬剤師847名を対象にアンケート調査を実施した. スポーツファーマシスト(Sports Pharmacist: SP)を知っている薬剤師は全体の71.4%で, SPを知らない薬剤師は28.6%であった. 性別と公益財団法人日本薬剤師研修センター認定薬剤師の有無と学校薬剤師認定の有無によりSP認知度に有意な差は見られなかったが, 年齢との間に関連がみられ(p<0.01)若年層のほうがSPを知っていた. 学校薬剤師認定者とSPの間に関連はなかったが, 学校薬剤師認定者とSP認定保有歴との間に関連がみられた(p<0.01). 禁止物質に関する質問に対応した経験がある薬剤師は全体の21%であった. 「Global Drug Reference Online : グローバルDRO」については, 16.4%の薬剤師しか知らなかった. 第100回薬剤師国家試験に出題された問題を回答させたところ, SP以外の薬剤師の正解率は, SPに比較し有意に低かった(p<0.01). 地域の最前線で働いているSP以外の薬剤師のアンチ・ドーピングに関する関心が低いと考えられた.
ISSN:1346-4159