女子トップアスリートのACL損傷の受傷要因の解明 - 疲労がジャンプ着地動作の姿勢制御能力に与える影響
「要旨」着地前からの姿勢制御能力が十分備わっていると考えられるトップアスリートでも疲労が原因で姿勢制御能力が低下することで着地時に不良姿勢をとり, 非接触型の前十字靭帯(ACL)損傷を受傷する可能性に着目した. 対象は本邦のプロ女子サッカー選手23名とした. drop vertical jump(DVJ)を動作課題とし, 前額面と矢状面からデジタルカメラでハイスピード撮影を行った. まず負荷前にDVJを3試技行い, 次に自転車エルゴメーターで全力ペダリングを8回行い, 疲労を誘発した. その後にDVJを3試技行った. 負荷前後には血中乳酸測定を行い, 疲労の評価とした. 負荷前後の膝関節外反・...
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Published in | 日本臨床スポーツ医学会誌 Vol. 27; no. 3; pp. 496 - 504 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床スポーツ医学会
30.08.2019
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ISSN | 1346-4159 |
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Summary: | 「要旨」着地前からの姿勢制御能力が十分備わっていると考えられるトップアスリートでも疲労が原因で姿勢制御能力が低下することで着地時に不良姿勢をとり, 非接触型の前十字靭帯(ACL)損傷を受傷する可能性に着目した. 対象は本邦のプロ女子サッカー選手23名とした. drop vertical jump(DVJ)を動作課題とし, 前額面と矢状面からデジタルカメラでハイスピード撮影を行った. まず負荷前にDVJを3試技行い, 次に自転車エルゴメーターで全力ペダリングを8回行い, 疲労を誘発した. その後にDVJを3試技行った. 負荷前後には血中乳酸測定を行い, 疲労の評価とした. 負荷前後の膝関節外反・股関節屈曲・膝関節屈曲・足関節背屈角度を3試技の平均値で比較した. また, 負荷前後の着地時の姿勢も観察した. 全ての選手で乳酸値は有意に上昇していた. 右膝関節外反角度は有意に上昇し, 股関節屈曲・足関節背屈角度は有意に減少していた. 膝関節屈曲角度に有意差はなかった. また, 着地時不良姿勢となった選手は, 負荷前では18%, 負荷後には78%となった. 全身的な負荷運動により筋疲労が生じ, 不良姿勢をとったと考えられ, 非接触型のACL損傷を予防するには, 姿勢制御を可能にするための筋持久力の向上も重要である. |
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ISSN: | 1346-4159 |