スピン偏極パルス透過電子顕微鏡の開発 偏極電子源の原理とその応用

スピン偏極電子源は,負の電子親和性表面を有する半導体フォトカソードを用いたレーザー駆動型電子源である.この電子源は名古屋大学中西らの研究により,量子効率0.5%において92%の高いスピン偏極度を可能とし,ピコ秒パルス電子の生成や107 A/m2.sr.Vの高輝度電子ビーム生成が実現されている.その生成には半導体光物性,固体内の電子輸送過程,表面,そしてビーム物理と複合的な要素を考慮して開発されてきており,本記事ではスピン偏極電子生成原理とその特徴,またその特色を生かした透過電子顕微鏡への応用研究を紹介する.我々は既にスピン偏極電子源を透過電子顕微鏡に搭載しパルスTEM像の取得やEELS測定を実...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in顕微鏡 Vol. 48; no. 1; pp. 3 - 8
Main Authors 竹田, 美和, 桑原, 真人, 中西, 彊, 田中, 信夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本顕微鏡学会 30.04.2013
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1349-0958
2434-2386
DOI10.11410/kenbikyo.48.1_3

Cover

More Information
Summary:スピン偏極電子源は,負の電子親和性表面を有する半導体フォトカソードを用いたレーザー駆動型電子源である.この電子源は名古屋大学中西らの研究により,量子効率0.5%において92%の高いスピン偏極度を可能とし,ピコ秒パルス電子の生成や107 A/m2.sr.Vの高輝度電子ビーム生成が実現されている.その生成には半導体光物性,固体内の電子輸送過程,表面,そしてビーム物理と複合的な要素を考慮して開発されてきており,本記事ではスピン偏極電子生成原理とその特徴,またその特色を生かした透過電子顕微鏡への応用研究を紹介する.我々は既にスピン偏極電子源を透過電子顕微鏡に搭載しパルスTEM像の取得やEELS測定を実施しており,そのゼロロスピーク幅が0.3 eV以下であることを確認するに至っている.最後に電子顕微鏡への応用として大きな一歩を踏み出したことについて触れたい.
ISSN:1349-0958
2434-2386
DOI:10.11410/kenbikyo.48.1_3