幽門輪温存膵頭十二指腸切除術後, 腹腔内遊離ガスで診断された肝膿瘍破裂の1例
ガス産生性肝膿瘍の腹腔内破裂の1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する. 症例は60歳, 男性. 5年前より糖尿病を有し, 1年前に膵頭部癌にて幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を受ける. 発熱, 全身倦怠感を主訴に来院. 腹部超音波およびCT検査にて遊離ガスと肝右葉の膿瘍を認めた. 超音波ガイド下に経皮経肝的膿瘍ドレナージ術を施行した. 穿刺した膿汁の細菌培養でKlebstellaが同定された. ドレナージは効果的で, 速やかな膿瘍腔の縮小を認め, 経過は順調であった. ドレナージ施行4週後に消化管出血が出現し, 上部消化管内視鏡検査および血管造影では出血部位は確認されなかった. CTで肝...
Saved in:
Published in | 日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 23; no. 1; pp. 107 - 113 |
---|---|
Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本腹部救急医学会
31.01.2003
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1340-2242 1882-4781 |
DOI | 10.11231/jaem1993.23.107 |
Cover
Summary: | ガス産生性肝膿瘍の腹腔内破裂の1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する. 症例は60歳, 男性. 5年前より糖尿病を有し, 1年前に膵頭部癌にて幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を受ける. 発熱, 全身倦怠感を主訴に来院. 腹部超音波およびCT検査にて遊離ガスと肝右葉の膿瘍を認めた. 超音波ガイド下に経皮経肝的膿瘍ドレナージ術を施行した. 穿刺した膿汁の細菌培養でKlebstellaが同定された. ドレナージは効果的で, 速やかな膿瘍腔の縮小を認め, 経過は順調であった. ドレナージ施行4週後に消化管出血が出現し, 上部消化管内視鏡検査および血管造影では出血部位は確認されなかった. CTで肝門部に腫瘍陰影を認めその部分から消化管内への出血が疑われた. 膵癌の局所再発と診断され, その後, 保存的に治療するも軽快せず死亡した. |
---|---|
ISSN: | 1340-2242 1882-4781 |
DOI: | 10.11231/jaem1993.23.107 |