十二指腸潰瘍に対する胃空腸吻合術後35年目に発生した多発胃癌(吻合部,前庭部)の1例

胃空腸吻合術後35年目に発生した多発胃癌の1例を経験したので報告する.症例は78歳,男性,主訴は心窩部痛. 43歳時に十二指腸潰瘍にて手術の既往(詳細不明).心窩部痛にて近医を受診.胃内視鏡検査にて前庭部小彎に2型,体下部後壁に5型の腫瘍を認め,生検にてGroup Vであったため,当科を紹介され入院.術前検査では十二指腸潰瘍の術式の情報は得られなかった.多発胃癌の診断にて手術を施行.手術所見では体下部後壁に胃空腸吻合がなされ,同部に硬い腫瘍を触知した.吻合部空腸を含めた幽門側胃切除を施行しR-Y法にて再建した.切除標本所見では前庭部小彎と体下部後壁に2型腫瘍を認め,吻合口は体下部後壁の腫瘍にて...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 65; no. 1; pp. 77 - 82
Main Authors 宗行, 毅, 永井, 盛太, 岸和田, 昌之, 堀, 智英, 町支, 秀樹, 岡田, 喜克
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本臨床外科学会 25.01.2004
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.65.77

Cover

More Information
Summary:胃空腸吻合術後35年目に発生した多発胃癌の1例を経験したので報告する.症例は78歳,男性,主訴は心窩部痛. 43歳時に十二指腸潰瘍にて手術の既往(詳細不明).心窩部痛にて近医を受診.胃内視鏡検査にて前庭部小彎に2型,体下部後壁に5型の腫瘍を認め,生検にてGroup Vであったため,当科を紹介され入院.術前検査では十二指腸潰瘍の術式の情報は得られなかった.多発胃癌の診断にて手術を施行.手術所見では体下部後壁に胃空腸吻合がなされ,同部に硬い腫瘍を触知した.吻合部空腸を含めた幽門側胃切除を施行しR-Y法にて再建した.切除標本所見では前庭部小彎と体下部後壁に2型腫瘍を認め,吻合口は体下部後壁の腫瘍にて完全閉塞し空腸側に浸潤していた.病理組織学的には前庭部病変はtub1, mp,体下部病変はpor2, seでn0, fStage II,根治度Aであった.術後経過は良好で,術後5年5カ月目の現在再発の徴候を認めず建在である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.65.77