大量の乳糜腹水を伴った再発腸間膜脂肪織炎の1例

大量の乳糜腹水で発症し, 保存的治療後約8か月で再発した小腸間膜脂肪織炎の1例を経験した. 症例は77歳の女性で, 腹部膨満感を主訴に受診し, CTで著明な腹水と小腸間膜根部に腫瘤像が認められた. 可溶性IL-2受容体が高値であり, 悪性リンパ腫を疑い診断・治療目的で手術を施行した. 乳糜腹水が貯留しており小腸間膜は硬化・短縮していた. 生検で腸間膜脂肪織炎と診断され, 保存的治療により腹水は自然消退した. 退院後他院で経過観察されていたが, 約10か月後に再度腹満感で受診した. CTで大量の腹水が再貯留し左水腎症も併発していた. 画像診断からは腸間膜脂肪織炎を疑ったが, 腫瘤像が増大していた...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 37; no. 6; pp. 697 - 701
Main Authors 吉本, 裕紀, 清水, 良一, 成松, 昭夫, 前田, 祥成, 佐伯, 俊宏, 猪熊, 明子, 高橋, 睦夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.06.2004
一般社団法人日本消化器外科学会
The Japanese Society of Gastroenterological Surgery
Subjects
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.37.697

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Summary:大量の乳糜腹水で発症し, 保存的治療後約8か月で再発した小腸間膜脂肪織炎の1例を経験した. 症例は77歳の女性で, 腹部膨満感を主訴に受診し, CTで著明な腹水と小腸間膜根部に腫瘤像が認められた. 可溶性IL-2受容体が高値であり, 悪性リンパ腫を疑い診断・治療目的で手術を施行した. 乳糜腹水が貯留しており小腸間膜は硬化・短縮していた. 生検で腸間膜脂肪織炎と診断され, 保存的治療により腹水は自然消退した. 退院後他院で経過観察されていたが, 約10か月後に再度腹満感で受診した. CTで大量の腹水が再貯留し左水腎症も併発していた. 画像診断からは腸間膜脂肪織炎を疑ったが, 腫瘤像が増大していたため手術を施行した. 前回に比較して炎症が強く, 高度に肥厚した腸間膜の生検を行い, 腸間膜脂肪織炎と診断された. 術後は問題なく経過し, 現在外来でステロイド治療中で, 腹水もほぼ消失している.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.37.697