胃癌の進行度に応じた脾門および脾動脈幹リンパ節郭清術式の選択に関する検討

胃上中郡および全領域の原発胃癌557例を対象に, 進行度に応じたNo.(10),(11) 郭清術式の選択について検討した.No.(10),(11) 転移率の高い因子としては腫瘍径8cm以上, 大彎・後壁に位置するもの, S2以上, N (+) 例などが挙げられ, 一方, 腫瘍径4cm未満, S1以下, N (-) 例などではNo.(10),(11) 転移率が低かった.No.(10),(11) のen bloc郭清は238例に行われ, 郭清術式の内訳は膵脾合併切除190例, 脾動静脈切除膵温存術48例であった.これらの根治切除例における5年生存率はそれぞれstage I: 96.3%, 100%...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 27; no. 4; pp. 869 - 875
Main Authors 平田, 公一, 伝野, 隆一, 浦, 英樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 1994
一般社団法人日本消化器外科学会
The Japanese Society of Gastroenterological Surgery
Subjects
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.27.869

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Summary:胃上中郡および全領域の原発胃癌557例を対象に, 進行度に応じたNo.(10),(11) 郭清術式の選択について検討した.No.(10),(11) 転移率の高い因子としては腫瘍径8cm以上, 大彎・後壁に位置するもの, S2以上, N (+) 例などが挙げられ, 一方, 腫瘍径4cm未満, S1以下, N (-) 例などではNo.(10),(11) 転移率が低かった.No.(10),(11) のen bloc郭清は238例に行われ, 郭清術式の内訳は膵脾合併切除190例, 脾動静脈切除膵温存術48例であった.これらの根治切除例における5年生存率はそれぞれstage I: 96.3%, 100%, stage II: 64.0%, 79.6%, stage III: 39.8%, 35.6%, stage IV: 20.8%, 0%であった. stage I, IIではNo.(10),(11) 転移率が低く, 生存率にも差を認めないことから膵温存術の適応が合理的である. stage IIIでは郭清術式による生存率の差を認めないが, No.(10),(11) 転移率の高い症例が含まれるため, 完全郭清を目的とした膵脾合併切除を選択すべきと考える. stage IVでは根治切除可能であれば膵脾合併切除の絶対適応である.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.27.869