乳児期に非血縁者間臍帯血移植を施行したムコ多糖症I型 (Hurler症候群) の1例

症例は8カ月男児, ムコ多糖症1型 (Hurler症候群) に対して血清学的にHLA1座不一致の非血縁者間臍帯血移植 (UCBT) を施行した.前処置としてbusulfan35mg/m2×4/日×4日間 (day-9~-6), cyclophosphamide50mg/kg×4日間 (day-5~-2), 抗胸腺細胞グロブリン (ATG) 25mg/kg×4日間 (day-5~-2) を投与した.輸注細胞数は4.2×107/kgであった.白血球数>1,000/μ1, 血小板数>5万/μ1はそれぞれdayl6, day56であった.移植後3カ月時点での末梢血はドナータイプ78.6%,...

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Published in日本小児血液学会雑誌 Vol. 14; no. 1; pp. 23 - 28
Main Authors 古野, 憲司, 松崎, 彰信, 井原, 健二, 高田, 英俊, 井上, 和彦, 原, 寿郎, 稲光, 毅, 西平, 浩一, 住江, 愛子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児血液・がん学会 29.02.2000
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ISSN0913-8706
1884-4723
DOI10.11412/jjph1987.14.23

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Summary:症例は8カ月男児, ムコ多糖症1型 (Hurler症候群) に対して血清学的にHLA1座不一致の非血縁者間臍帯血移植 (UCBT) を施行した.前処置としてbusulfan35mg/m2×4/日×4日間 (day-9~-6), cyclophosphamide50mg/kg×4日間 (day-5~-2), 抗胸腺細胞グロブリン (ATG) 25mg/kg×4日間 (day-5~-2) を投与した.輸注細胞数は4.2×107/kgであった.白血球数>1,000/μ1, 血小板数>5万/μ1はそれぞれdayl6, day56であった.移植後3カ月時点での末梢血はドナータイプ78.6%, レシピエントタイプ21.4%のキメラ状態を呈したが, 移植後12カ月においてもその割合は安定していた.急性および慢性GVHDは認めなかった.末梢血リンパ球中α-iduronidaseおよび尿中ムコ多糖は移植後ほぼ正常範囲となった.早期の造血幹細胞移植を必要とするHurler症候群患児において, 家族内ドナーがいない場合UCBTは考慮されるべき治療法のひとつと考えられた.
ISSN:0913-8706
1884-4723
DOI:10.11412/jjph1987.14.23