今日の浴室の真菌相の特徴

I.はじめに 我が国の住宅の浴室は, 台所や洗面所の水回りとともに, 今日でもカビ汚染の最も多いところである[1,2]. 浴室の壁の汚れの要因はカビが大きな部分を占め, タイルの目地や壁材の継ぎ目などにしばしば暗色のカビが発生する. 浴室は本質的に水を使うため, カビ汚染と常に背中合わせであると言えよう. 浴室には, どんな種類のカビが, どれくらい生えているか. どんな特性のカビが生育するか. 天井・壁・床などの各部分のいずれにカビ汚染が多いか. 有効な対策を施すには, カビ汚染の現状を客観的に把握することが大切である. しかし, 浴室の汚染実態に関する調査研究は, 意外に少ない. Mori...

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Published in生活衛生 Vol. 52; no. 2; pp. 98 - 131
Main Authors 濱田信夫, 阿部仁一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 大阪生活衛生協会 2008
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ISSN0582-4176

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Summary:I.はじめに 我が国の住宅の浴室は, 台所や洗面所の水回りとともに, 今日でもカビ汚染の最も多いところである[1,2]. 浴室の壁の汚れの要因はカビが大きな部分を占め, タイルの目地や壁材の継ぎ目などにしばしば暗色のカビが発生する. 浴室は本質的に水を使うため, カビ汚染と常に背中合わせであると言えよう. 浴室には, どんな種類のカビが, どれくらい生えているか. どんな特性のカビが生育するか. 天井・壁・床などの各部分のいずれにカビ汚染が多いか. 有効な対策を施すには, カビ汚染の現状を客観的に把握することが大切である. しかし, 浴室の汚染実態に関する調査研究は, 意外に少ない. Moriyamaら[3]は浴室の壁面や浮遊しているカビ相を調査し, Cladosporium, Phoma, Penicillium, Alternariaが多いことを報告している. また, Nishimuraら[4]は, 浴室で検出された真菌症をおこす数種のExophiala属のカビについて, その生育特性を調べている.
ISSN:0582-4176