血液悪性腫瘍, 固形腫瘍の脾, リンパ節におけるリンパ球サブセットの分布

小児の悪性腫瘍患者の免疫状態をみるため, リンパ節, 脾の組織学的構築, Leu4 (CD3), Leu3a (CD4), Leu2a (CD8), Leul6 (CD20), IL-2receptor (CD25), TCRγ/δの各モノクローナル抗体陽性のリンパ球の分布状態について間接酵素抗体法, フローサイトメトリーを用いて検討した.対象とした症例は血液悪性腫瘍 (急性骨髄性白血病, 急性リンパ性白血病, 悪性リンパ腫), 組織球症, 神経芽腫, 脳腫瘍などの剖検例11例である.そして対照として脾機能亢進症, 副脾を検討した.担癌患児では免疫組織学的検討ではリンパ節, 脾においてT細胞,...

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Published in日本小児血液学会雑誌 Vol. 9; no. 3; pp. 147 - 153
Main Authors 浜崎, 豊, 平岩, 久幸, 村田, 博昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児血液・がん学会 30.06.1995
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ISSN0913-8706
1884-4723
DOI10.11412/jjph1987.9.147

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Summary:小児の悪性腫瘍患者の免疫状態をみるため, リンパ節, 脾の組織学的構築, Leu4 (CD3), Leu3a (CD4), Leu2a (CD8), Leul6 (CD20), IL-2receptor (CD25), TCRγ/δの各モノクローナル抗体陽性のリンパ球の分布状態について間接酵素抗体法, フローサイトメトリーを用いて検討した.対象とした症例は血液悪性腫瘍 (急性骨髄性白血病, 急性リンパ性白血病, 悪性リンパ腫), 組織球症, 神経芽腫, 脳腫瘍などの剖検例11例である.そして対照として脾機能亢進症, 副脾を検討した.担癌患児では免疫組織学的検討ではリンパ節, 脾においてT細胞, B細胞とも減少しているが, 組織内の細胞分布に異常はみられない.CD4/8比は正常あるいは軽度低下している傾向がみられた.またCD25陽性細胞はT細胞が減少していることもあって量的には減少しているが, CD25+CD3+/CD3+比はむしろ増加しており, 活性化能は保たれていると考えられた.サイトカイン投与などの免疫賦活療法により, 担癌患児の細胞性免疫が回復する可能性が示唆され, とくにリンパ球を数量的に増加させることを目的とした治療が有効と思われた.骨髄移植例は, 他の悪性腫瘍例と比べてCD25+CD3+/CD3+比は低下傾向にあり, リンパ球活性化能も低下していると考えられ, より強力な免疫賦活法を検討する必要があると思われた.
ISSN:0913-8706
1884-4723
DOI:10.11412/jjph1987.9.147