山形県内の介護作業職場における腰痛の実態とそのリスク要因

1.はじめに 我が国の介護サービス利用者は2000年4月に149万人から2004年4月に297万人へと99%増加した.介護サービス利用者のうち訪問介護サービス利用者に限っては,2000年4月に97万人から2004年1月には223万人へと129%増加している.介護サービス利用者は2015年には530万人に増加し,その多くが在宅で訪問介護サービスを受けることになると予想されている(1).厚生労働省は「職場における腰痛予防対策指針」で「重症心身障害児施設等における介護i作業」をあげて具体的な対策を示している.名古屋市の学校職員に対する調査研究では,障害児学校教諭や看護師に腰痛発症者が多いことが明らか...

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Published in日本衛生学雑誌 Vol. 62; no. 3; pp. 911 - 919
Main Authors 藤井 聡, 杉原敏道, 佐々木 寛, 須藤俊亮, 若林一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本衛生学会 15.05.2007
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ISSN0021-5082

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Summary:1.はじめに 我が国の介護サービス利用者は2000年4月に149万人から2004年4月に297万人へと99%増加した.介護サービス利用者のうち訪問介護サービス利用者に限っては,2000年4月に97万人から2004年1月には223万人へと129%増加している.介護サービス利用者は2015年には530万人に増加し,その多くが在宅で訪問介護サービスを受けることになると予想されている(1).厚生労働省は「職場における腰痛予防対策指針」で「重症心身障害児施設等における介護i作業」をあげて具体的な対策を示している.名古屋市の学校職員に対する調査研究では,障害児学校教諭や看護師に腰痛発症者が多いことが明らかにされている(2).障害児学校教員や看護師における業務上腰痛の発症には,介助作業における腰部負担姿勢の反復のみならず,介護作業中に思いがけず行う急な姿勢転換などが関与することが報告されている(3,4).同様に,老人保健施設や特別養護老人ホームなどで行う身体介護作業は腰部に過度の負担がかかるため,作業者に腰痛罹患者が多い.そして,介護施設で行われる身体介護では,入浴介助に代表される腰部負担姿勢が介護作業者の腰痛の重要な要因であることが具体的に明らかにされている(5-7).
ISSN:0021-5082