ビス(イミノ)ピリジン鉄錯体/ジルコノセン/Cr–モンモリロナイトからなる三元系ハイブリッドエチレン重合触媒の開発

エチレン重合触媒として,[2,6-{(2,6-(iPr)2C6H3)N=C(CH3)}2C5H3N]Fe(III)L2(成分1),(n-C4H9Cp)2ZrCl2(成分2)およびCr–モンモリロナイト(成分3)からなる三元系ハイブリッド触媒を開発した。この触媒を用いたエチレン重合は,数平均分子量がMn=3.6 × 104であり,分子量分布の広い(Mw/Mn=18.5)直鎖状ポリエチレンを与えた。エチレンと1-ヘキセンとの共重合では,触媒活性が単独重合で観察された活性の1/3まで大幅に低下した。得られた共重合体は,エチレン単独重合体と類似の分子量および分子量分布(Mn=2.0 × 104,Mw/...

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Published inJournal of the Japan Petroleum Institute Vol. 68; no. 5; pp. 177 - 186
Main Authors 荻原 仁志, 大月 康平, 福田 哲朗, 黒川 秀樹, 山本 和弘
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 公益社団法人 石油学会 01.09.2025
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ISSN1346-8804
1349-273X
DOI10.1627/jpi.68.177

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Summary:エチレン重合触媒として,[2,6-{(2,6-(iPr)2C6H3)N=C(CH3)}2C5H3N]Fe(III)L2(成分1),(n-C4H9Cp)2ZrCl2(成分2)およびCr–モンモリロナイト(成分3)からなる三元系ハイブリッド触媒を開発した。この触媒を用いたエチレン重合は,数平均分子量がMn=3.6 × 104であり,分子量分布の広い(Mw/Mn=18.5)直鎖状ポリエチレンを与えた。エチレンと1-ヘキセンとの共重合では,触媒活性が単独重合で観察された活性の1/3まで大幅に低下した。得られた共重合体は,エチレン単独重合体と類似の分子量および分子量分布(Mn=2.0 × 104,Mw/Mn=25.4)であり,その融点はわずかに低下していた。得られたエチレン単独重合体について,ゲル浸透クロマトグラフィーのプロファイルを畳み込み/逆畳み込みによって解析した結果,各触媒成分由来のポリエチレンの組成は,PE(成分1) : PE(成分2) : PE(成分3)=63 : 35 : 2であった。共重合体についても同様の解析を行ったところ,PE(成分1) : PE(成分2) : PE(成分3)=85 : 14 : 1であると決定された。共重合体中の短鎖分岐の形成はSSA(逐次自己核形成およびアニーリング法)および13C-NMR測定によって評価された。13C-NMRスペクトルから推定された共重合体中の分岐数は炭素1000個あたり0.7であり,この結果は成分2によって生成したPEの主鎖に少量のコモノマーが取り込まれたことを示唆している。結論として,開発された三元系ハイブリッド触媒は各触媒成分由来のPEからなる広い分子量分布を持つPE樹脂を合成することに成功した。
ISSN:1346-8804
1349-273X
DOI:10.1627/jpi.68.177