グローバリゼーション/ディグローバリゼーションのダイナミズムと経済システムの変容 制度・組織革新とシステム形成の視点から(続・完)
企業・金融・情報のグローバル化と政府機能の新自由主義的転換を主要なダイナミズムとして展開した経済グローバル化は、IT・ITC技術革新、金融革新を含む幅広い制度・組織革新を誘発し、アメリカを軸として「グローバル成長連関」という新たなグローバルな経済成長のシステムを出現させた。しかし、とりわけその金融メカニズムの制度不備・システム欠陥が最大の原因となって、アメリカ発のグローバル金融危機・経済危機が発生したことを最大の転機として、「ディグローバリゼーション」の趨勢が現れ、「グローバル成長連関」の変質と再編が進むこととなった。危機対応で異例に大規模な財政・金融その他の政府機能の発動により国家が再び前面...
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Published in | イノベーション・マネジメント Vol. 22; pp. 39 - 79 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
法政大学イノベーション・マネジメント研究センター
31.03.2025
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Subjects | |
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ISSN | 1349-2233 2433-6971 |
DOI | 10.24677/riim.22.0_39 |
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Summary: | 企業・金融・情報のグローバル化と政府機能の新自由主義的転換を主要なダイナミズムとして展開した経済グローバル化は、IT・ITC技術革新、金融革新を含む幅広い制度・組織革新を誘発し、アメリカを軸として「グローバル成長連関」という新たなグローバルな経済成長のシステムを出現させた。しかし、とりわけその金融メカニズムの制度不備・システム欠陥が最大の原因となって、アメリカ発のグローバル金融危機・経済危機が発生したことを最大の転機として、「ディグローバリゼーション」の趨勢が現れ、「グローバル成長連関」の変質と再編が進むこととなった。危機対応で異例に大規模な財政・金融その他の政府機能の発動により国家が再び前面に現れ、市場主義と新自由主義的理念は大きく後退した。主要国で国内成長連関を重視する動向が現れ、なかでも中国の成長戦略の転換は、アメリカの政治・軍事・経済覇権に挑戦するものとなったため、中国の「デカップリング」・「デリスキング」と先端技術の対中国流出規制などアメリカの国家戦略的対応によって、「ディグローバリゼーション」の構造的趨勢を生じた。そこに新型コロナのグローバル・パンデミック、ロシアのウクライナ侵攻が加わり、「地政学的リスク」などグローバルリスクと不確実性が拡大し、GSC/GVCの再編など、中長期的にも「グローバル成長連関」の分断化や再編と、ディグローバリゼーションの趨勢を促している。そうした動向は、複雑な要因が関係するが、再び大きな制度・組織革新とシステム転換をもたらすものである。 |
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ISSN: | 1349-2233 2433-6971 |
DOI: | 10.24677/riim.22.0_39 |