非結核性抗酸菌に対するイオンレスⓇ次亜塩素酸水（精製次亜塩素酸水）シーエルファインⓇの殺菌効果

• Published in: 日本環境感染学会誌 Vol. 40; no. 1; pp. 13 - 17
• Main Authors: 塩沢, 綾子, 梶原, 千晶, 更田, 宏史, 川村, 尚久, 舘田, 一博
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 一般社団法人 日本環境感染学会 25.01.2025
• Subjects: 次亜塩素酸水; 環境消毒; 非結核性抗酸菌
• ISSN: 1882-532X; 1883-2407
• DOI: 10.4058/jsei.40.13

非結核性抗酸菌（non-tuberculous mycobacteria：NTM）は水道や浴室などの身近な水回りに生息している．環境中のNTMが経気道的に侵入することで肺NTM症を生じるリスクが指摘されている．NTMは塩素系消毒剤に抵抗性があることが知られている．また，塩素系消毒剤は長時間作用により腐食作用を呈することから，環境中のNTM消毒には課題が多い．イオンレスⓇ次亜塩素酸水（精製次亜塩素酸水）シーエルファインⓇ（CLFine）は，腐食性を低減した微酸性の塩素系消毒剤である．今回，本剤のNTMに対する殺菌効果を検討した．Mycobacterium aviumおよびM. abscessus subsp. abscessusの菌液にCLFineを40 ppm濃度で作用させると，30～60分間で検出限界以下となった．蒸散適用による検討ではCLFine 40 ppmを1時間作用させると両菌種ともに約50％まで菌量が減少した．一方，空間噴霧適用による検討ではCLFine 300 ppmを3時間用いても両菌種ともに菌数の減少効果は得られなかった．以上からCLFineは，環境表面のNTMに対して浸漬適用による殺菌効果を期待できるが，空間噴霧適用では殺菌効果が期待しづらく，改めて環境中のNTMの殺菌における課題が明らかになった．