災害・事故時に環境排出された化学物質への対処を支援するウェブ情報基盤システムの有用性評価

自然災害の増加に伴い,有害化学物質の環境中への排出事象の激甚化が危惧されている。著者らはこれら事象への対応のための意思決定支援ツールとして情報基盤D.Chem-Coreを公開した。本研究では,本情報基盤の有用性評価などを目的として,仮想的な災害・事故時に必要となる情報の収集や調査方法などを検討する,地方環境研究所職員を主たる参加者とした机上演習を実施した。災害・事故時対応において重要な環境調査計画の立案に着目し,情報基盤等がどの程度計画立案に貢献したか評価するとともに,参加者アンケートにより主観的な評価も実施した。机上演習では,各班で自由に事故シナリオを設定した上で,情報基盤等を利用して情報収...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in環境化学 Vol. 35; pp. 39 - 46
Main Authors 今泉, 圭隆, 小山, 陽介, 中島, 大介, 高澤, 嘉一, 鈴木, 規之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本環境化学会 2025
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:自然災害の増加に伴い,有害化学物質の環境中への排出事象の激甚化が危惧されている。著者らはこれら事象への対応のための意思決定支援ツールとして情報基盤D.Chem-Coreを公開した。本研究では,本情報基盤の有用性評価などを目的として,仮想的な災害・事故時に必要となる情報の収集や調査方法などを検討する,地方環境研究所職員を主たる参加者とした机上演習を実施した。災害・事故時対応において重要な環境調査計画の立案に着目し,情報基盤等がどの程度計画立案に貢献したか評価するとともに,参加者アンケートにより主観的な評価も実施した。机上演習では,各班で自由に事故シナリオを設定した上で,情報基盤等を利用して情報収集しつつ対応方針などを議論・決定した。有用性評価のために,環境調査計画立案に関連する11項目を整理し,各班での必要情報の入手状況を整理した。必要情報を入手できた割合を有用率と定義し,項目別有用率を算出したところ,需要がなかった項目以外では全て有用率が0.5以上になった。アンケートの回答者の9割から本情報基盤を災害・事故時に利用したいという高い評価も得た。これらにより本情報基盤の高い有用性を確認した。
ISSN:0917-2408
1882-5818
DOI:10.5985/jec.35.39