口腔扁平上皮癌における HLA-DR 抗原発現の免疫組織化学的検討 とくに Stage I, II症例について

本研究の目的は, 口腔扁平上皮癌Stage I, II症例の80例を対象に, HLA-DR抗原の発現およびTリンパ球浸潤を免疫組織化学的に検索し, 腫瘍の局所免疫応答について検討することとした。 結果 1.口腔扁平上皮癌におけるHLA-DR抗原の発現は80例中21例 (26%) に認められた。 2.原発部位では舌にHLA-DR抗原の発現例が最も多かった。 3.高分化型が中等度分化型に比較し, 有意にHLA-DR抗原の発現例が多かった。 4.腫瘍の浸潤傾向が強いほどHLA-DR抗原の発現頻度が低下していた。 5.腫瘍組織内Tリンパ球の浸潤度が強いほどHLA-DR抗原の発現例が有意に多くなっていた...

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Published in日本口腔腫瘍学会誌 Vol. 9; no. 1; pp. 1 - 6
Main Authors 村田, 朋之, 黒川, 英雄, 山下, 善弘, 梶山, 稔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会 15.03.1997
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Summary:本研究の目的は, 口腔扁平上皮癌Stage I, II症例の80例を対象に, HLA-DR抗原の発現およびTリンパ球浸潤を免疫組織化学的に検索し, 腫瘍の局所免疫応答について検討することとした。 結果 1.口腔扁平上皮癌におけるHLA-DR抗原の発現は80例中21例 (26%) に認められた。 2.原発部位では舌にHLA-DR抗原の発現例が最も多かった。 3.高分化型が中等度分化型に比較し, 有意にHLA-DR抗原の発現例が多かった。 4.腫瘍の浸潤傾向が強いほどHLA-DR抗原の発現頻度が低下していた。 5.腫瘍組織内Tリンパ球の浸潤度が強いほどHLA-DR抗原の発現例が有意に多くなっていた。 6.HLA-DR抗原の発現例では, 5年生存率が高くなっていたが, 再発, 頸部後発リンパ節転移との明らかな関連性は認められなかった。 7.口腔扁平上皮癌の腫瘍細胞におけるHLA-DR抗原の発現が, 宿主の局所免疫応答に関与している可能性が示唆された。
ISSN:0915-5988
1884-4995
DOI:10.5843/jsot.9.1