左下肢運動障害で発症した腹部大動脈瘤および腸骨動脈瘤破裂の1例
腹部大動脈瘤, 腸骨動脈瘤破裂の主訴として下肢の神経障害は極めて稀で, そのなかでも下肢の運動障害にまで至る症例はさらに少ない. われわれは左下肢の脱力と歩行不能を主訴とした腹部大動脈瘤および左腸骨動脈瘤の破裂症例を経験したので, 若干の文献的考察とともに報告する. 症例は68歳, 男性. 因果関係は不明であるが, 2003年10月と12月に腰背部の重苦感を自覚していた. 2004年2月, 左下肢の脱力に気付き, 歩行不能のため当院に救急車で搬入された. 搬入時意識は清明であったが, 左下肢の神経障害を認めた. 両足背動脈の拍動は良好であった. 腹部~骨盤CT検査で腸骨動脈瘤および腹部大動脈瘤...
Saved in:
Published in | 日本血管外科学会雑誌 Vol. 15; no. 3; pp. 391 - 394 |
---|---|
Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本血管外科学会
25.04.2006
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0918-6778 1881-767X |
DOI | 10.11401/jsvs.15.391 |
Cover
Summary: | 腹部大動脈瘤, 腸骨動脈瘤破裂の主訴として下肢の神経障害は極めて稀で, そのなかでも下肢の運動障害にまで至る症例はさらに少ない. われわれは左下肢の脱力と歩行不能を主訴とした腹部大動脈瘤および左腸骨動脈瘤の破裂症例を経験したので, 若干の文献的考察とともに報告する. 症例は68歳, 男性. 因果関係は不明であるが, 2003年10月と12月に腰背部の重苦感を自覚していた. 2004年2月, 左下肢の脱力に気付き, 歩行不能のため当院に救急車で搬入された. 搬入時意識は清明であったが, 左下肢の神経障害を認めた. 両足背動脈の拍動は良好であった. 腹部~骨盤CT検査で腸骨動脈瘤および腹部大動脈瘤の後腹膜側への破裂を認めた. 腸骨動脈瘤破裂による左下肢神経障害と診断し, 緊急に瘤切除, 人工血管置換術を行った. 術後腎不全を併発し一時的に血液透析を要したが, 下肢の神経障害は改善し, リハビリテーションの後, 術後47日目に自宅退院した. |
---|---|
ISSN: | 0918-6778 1881-767X |
DOI: | 10.11401/jsvs.15.391 |