鍼灸臨床における治療的診断の側面について

今回著者らは, 長い病歴をもつ2症例について, 鍼灸治療による症状の改善が全く認められないことに疑問を抱き, 精密検査の結果疾病の本態である腫瘍を相次いで発見し危うく急速な疾病の悪化をまぬがれるという経験を得たので報告し, 鍼灸治療がもつ治療的診断の側面の重要性に触れる。 日常臨床において, 鍼灸治療に全く反応を示さない症例に遭遇した時は, 一応重大な器質的疾患の存在を疑ってみる必要があり, 特に生体の反応を診ながら治療する鍼灸の臨床は, 治療過程における細心の病態観察から病像を把握していく治療的診断能力の側面をもっている。この報告を通じ, 鍼灸治療がもつ治療的診断の側面の重要性を著者らは,...

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Published in全日本鍼灸学会雑誌 Vol. 37; no. 1; pp. 6 - 10
Main Authors 丹沢, 章八, 大嶋, 克彦, 根本, 宏三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 全日本鍼灸学会 01.03.1987
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ISSN0285-9955
1882-661X
DOI10.3777/jjsam.37.6

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Summary:今回著者らは, 長い病歴をもつ2症例について, 鍼灸治療による症状の改善が全く認められないことに疑問を抱き, 精密検査の結果疾病の本態である腫瘍を相次いで発見し危うく急速な疾病の悪化をまぬがれるという経験を得たので報告し, 鍼灸治療がもつ治療的診断の側面の重要性に触れる。 日常臨床において, 鍼灸治療に全く反応を示さない症例に遭遇した時は, 一応重大な器質的疾患の存在を疑ってみる必要があり, 特に生体の反応を診ながら治療する鍼灸の臨床は, 治療過程における細心の病態観察から病像を把握していく治療的診断能力の側面をもっている。この報告を通じ, 鍼灸治療がもつ治療的診断の側面の重要性を著者らは, 特に強調する。
ISSN:0285-9955
1882-661X
DOI:10.3777/jjsam.37.6