骨髄移植の効率化に関する研究―第1報 移植骨髄からのTリンパ球除去を目的とした吸着材料の開発

移植骨髄からのTリンパ球除去は移植片対宿主病(GVHD)を予防する有効な手段であるが煩雑であるため, 我々はその方法の簡素化を検討した. ラクトースを側鎖に有するポリスチレン(PVLA)は, D-ガラクトース基を介してレクチンである大豆凝集素(SBA)と結合するので, これをコーティングしたプレートが表面にガラクトース基を持つTリンパ球の凝集支持体として機能するかどうかを, 同じく表面にガラクトース基を持つ末梢血赤血球と単核球を指標として評価した. 血球の付着性はPVLAおよびSBAに濃度依存性であった. また無処理あるいはマルトースを側鎖に持つポリスチレン(PVMA)との比較, ガラクトース...

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Published in人工臓器 Vol. 24; no. 5; pp. 989 - 994
Main Authors 赤池, 敏宏, 立澤, 宰, 佐藤, 達也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本人工臓器学会 15.10.1995
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ISSN0300-0818
1883-6097
DOI10.11392/jsao1972.24.989

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Summary:移植骨髄からのTリンパ球除去は移植片対宿主病(GVHD)を予防する有効な手段であるが煩雑であるため, 我々はその方法の簡素化を検討した. ラクトースを側鎖に有するポリスチレン(PVLA)は, D-ガラクトース基を介してレクチンである大豆凝集素(SBA)と結合するので, これをコーティングしたプレートが表面にガラクトース基を持つTリンパ球の凝集支持体として機能するかどうかを, 同じく表面にガラクトース基を持つ末梢血赤血球と単核球を指標として評価した. 血球の付着性はPVLAおよびSBAに濃度依存性であった. また無処理あるいはマルトースを側鎖に持つポリスチレン(PVMA)との比較, ガラクトースによる特異的阻害作用などより, 付着の特異性を示すとともに, 基礎的条件についても述べた. 移植骨髄からTリンパ球を除去する際にはPVLAは凝集支持体として安定な基質材料であり, 方法をより簡素化できる可能性が示された.
ISSN:0300-0818
1883-6097
DOI:10.11392/jsao1972.24.989