老人看護専門看護師による「倫理調整」活動

1.はじめに 専門看護師が行う倫理調整については,「個人,家族及び集団の権利を守るために,倫理的な問題や葛藤の解決をはかる」(日本看護協会,2018)とされているが,高齢者とその家族を看護するうえでは,意識的・無意識的な価値の対立が存在し,さまざまな倫理的課題に直面する.それは生死に直結するものから日常生活の1つひとつに至るまで多様であり,高齢者と家族,そして彼らを取り巻く専門職を悩ませる.しかし一方で,悩むことなく高齢者や家族の尊厳を脅かす行動をとってしまっている場合もある.よって,老人看護専門看護師(以下,GCNS)の活動のすべてにおいて高齢者の権利・尊厳を守り,その望みを実現するために倫...

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Published in日本老年看護学会誌(老年看護学) Vol. 23; no. 1; pp. 21 - 25
Main Authors 長谷川 美智子, 正田 美紀, 伊坪 恵, 大畑 茂子, 八木 範子, 髙道 香織, 吉岡 佐知子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本老年看護学会 31.07.2018
一般社団法人 日本老年看護学会
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ISSN1346-9665
2432-0811
DOI10.20696/jagn.23.1_21

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Summary:1.はじめに 専門看護師が行う倫理調整については,「個人,家族及び集団の権利を守るために,倫理的な問題や葛藤の解決をはかる」(日本看護協会,2018)とされているが,高齢者とその家族を看護するうえでは,意識的・無意識的な価値の対立が存在し,さまざまな倫理的課題に直面する.それは生死に直結するものから日常生活の1つひとつに至るまで多様であり,高齢者と家族,そして彼らを取り巻く専門職を悩ませる.しかし一方で,悩むことなく高齢者や家族の尊厳を脅かす行動をとってしまっている場合もある.よって,老人看護専門看護師(以下,GCNS)の活動のすべてにおいて高齢者の権利・尊厳を守り,その望みを実現するために倫理的な問題や葛藤の解決をはかるという「倫理調整」が含まれなければならないと考えている. 日本老年看護学会第21回学術集会では,前述の考えをポスターに示して報告した.本稿では実際にGCNSが経験した事例を踏まえてこの内容を述べたい.以下,事例掲載にあたり病院・病棟の了承を得,個人が特定されないよう配慮した.
Bibliography:特集1「老人看護専門看護師の活動紹介;6つの役割について」
ISSN:1346-9665
2432-0811
DOI:10.20696/jagn.23.1_21