富栄養化した2つのダム湖(相模湖,津久井湖)におけるラン藻出現動向とアオコ形成に影響する要因 : 40年間の監視から

相模湖及び津久井湖は,相模川に連結して建造されたほぼ同等規模の滞留時間の短いダム湖である。湖の富栄養化のため、ラン藻類が毎年出現している。しかしながら,両湖におけるラン藻類の発生状況は異なっていたことからその要因を探るため,生物学的及び非生物学的調査を実施し、過去40年間のそのパラメータを比較した。ラン藻は表層に生息している。相模湖では流出水にその一部が含まれており,留まりにくかった。表層が撹乱傾向にある時はDolichospermumが優占し,気象の影響で表層が滞留傾向にある時はMicrocystisが優占した。津久井湖からの流出は深い層(水深24-32m)から取水され、ラン藻は流出による影...

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Published inRikusuigaku zasshi Vol. 81; no. 1; pp. 1 - 17
Main Authors 有井, 鈴江, 辻, 清美, 原田, 健一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 01.02.2020
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Summary:相模湖及び津久井湖は,相模川に連結して建造されたほぼ同等規模の滞留時間の短いダム湖である。湖の富栄養化のため、ラン藻類が毎年出現している。しかしながら,両湖におけるラン藻類の発生状況は異なっていたことからその要因を探るため,生物学的及び非生物学的調査を実施し、過去40年間のそのパラメータを比較した。ラン藻は表層に生息している。相模湖では流出水にその一部が含まれており,留まりにくかった。表層が撹乱傾向にある時はDolichospermumが優占し,気象の影響で表層が滞留傾向にある時はMicrocystisが優占した。津久井湖からの流出は深い層(水深24-32m)から取水され、ラン藻は流出による影響を受けなかった。エアレーションの導入前はMicrocystisが優占し、導入後は表層のラン藻は分散し,ネンジュモ目が優占したが,気象の影響により表層が滞留した時にはMicrocystisが優占した。結果として、栄養塩と水温の影響は限定的であり,ラン藻の存在量と優占種の変化は、気象、取水口の構造の違い、およびエアレーションなどの付帯設備による表層の滞留状態の違いが影響している可能性があった。
Bibliography:935218
ZZ00016414
ISSN:0021-5104