1996-2003年に富山湾で漁獲されたブリ成魚の年齢構成
古くから富山湾においては、秋から冬にかけて、沿岸に来遊するブリSeriola quinquer-adiaaの大型魚が定置網によって漁獲されている。富山県において本種は、魚体サイズ別にフクラギ、ガンド等、数段階の銘柄で呼ばれ、とりわけその大型魚は魚価が高いことから銘柄ブリとして重要視されてきた。松野(1917)、市島(1920)、湯口・内山(1995)および内山(1996)の調査結果によれば、富山県に水揚げされた銘柄ブリの尾叉長は、ほぼ65cm以上である。また、三谷(1960)によれば、ブリの生物学的最小形は尾叉長60cm、体重約3kgであることから、富山県で水揚げされる銘柄ブリは、すべて成魚で...
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Published in | 富山県水産試験場研究報告 = Bulletin of Toyama Prefectural Fisheries Experiment Station no. 16; pp. 1 - 16 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
01.03.2005
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ISSN | 0915-6542 |
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Summary: | 古くから富山湾においては、秋から冬にかけて、沿岸に来遊するブリSeriola quinquer-adiaaの大型魚が定置網によって漁獲されている。富山県において本種は、魚体サイズ別にフクラギ、ガンド等、数段階の銘柄で呼ばれ、とりわけその大型魚は魚価が高いことから銘柄ブリとして重要視されてきた。松野(1917)、市島(1920)、湯口・内山(1995)および内山(1996)の調査結果によれば、富山県に水揚げされた銘柄ブリの尾叉長は、ほぼ65cm以上である。また、三谷(1960)によれば、ブリの生物学的最小形は尾叉長60cm、体重約3kgであることから、富山県で水揚げされる銘柄ブリは、すべて成魚であると推定される。銘柄ブリについては、漁況に関する調査・研究の歴史が古く、数々の研究報告がなされており、市島(1928)や永田(1954)は、漁獲量と気象および海況の対応状況についての検討結果を報告しているほか、内山(1997)は、1965-1995年の漁獲量および水温データの解析結果から、銘柄ブリの漁況変動要因について検討した。沢田ほか(1960)および大洋漁業株式会社定置漁業部(1961)は富山県の定置網一漁場において、1959年および1960年の漁期に漁獲されたブリの体重から年齢推定を行っているが、近年の生物特性や年齢構成については報告がない。今後、ブリの資源研究を進めるためには、近年の生物特性および年齢構成を詳しく調べ、明らかにする必要があり、著者は、1996-2003年富山県に水揚げされた銘柄ブリ、すなわちブリ成魚の尾叉長、体重、生殖腺重量等を測定し、年齢および成熟度を調べるとともに、その結果と漁獲量データをあわせて解析することによって、その年齢構成を明らかにした。さらに、得られた結果と、過去の魚体サイズに関する知見を比較し、その変動状況について検討したので報告する。 |
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Bibliography: | ZZ00013149 711457 |
ISSN: | 0915-6542 |