馬肉中に含まれる住肉胞子虫の危害性消失条件の検討による生食用馬肉を共通食とする食中毒事例の発生防止対策に関する研究

熊本県では,馬刺しを共通食とする原因不明の一過性嘔吐下痢症事例が最近3年間で毎年27件以上発生していた.同事例の原因はSarcocystis fayeri住肉胞子虫で,本研究では一定時間の冷凍処理で住肉胞子虫のシストがペプシンにより消化されその毒性を失うことを見いだした.同胞子虫シストを含んだ馬肉を-20℃で48時間以上冷凍したところ,シスト由来の毒性タンパク質の消失も確認された.本研究で確立した冷凍条件を用いての冷凍処理の普及により,平成23年10月以降,馬刺しが原因と考えられる食中毒の発生報告はなく,この冷凍処理基準が,馬刺しによる食中毒防止対策として有効であることが示唆された....

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inShokuhin eiseigaku zasshi Vol. 54; no. 3; pp. 198 - 203
Main Authors 原田, 誠也, 古川, 真斗, 徳岡, 英亮, 松本, 一俊, 八尋, 俊輔, 宮坂, 次郎, 斉藤, 守弘, 鎌田, 洋一, 渡辺, 麻衣子, 入倉, 大祐, 松本, 博, 小西, 良子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本食品衛生学会 25.06.2013
日本食品衛生学会
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:熊本県では,馬刺しを共通食とする原因不明の一過性嘔吐下痢症事例が最近3年間で毎年27件以上発生していた.同事例の原因はSarcocystis fayeri住肉胞子虫で,本研究では一定時間の冷凍処理で住肉胞子虫のシストがペプシンにより消化されその毒性を失うことを見いだした.同胞子虫シストを含んだ馬肉を-20℃で48時間以上冷凍したところ,シスト由来の毒性タンパク質の消失も確認された.本研究で確立した冷凍条件を用いての冷凍処理の普及により,平成23年10月以降,馬刺しが原因と考えられる食中毒の発生報告はなく,この冷凍処理基準が,馬刺しによる食中毒防止対策として有効であることが示唆された.
Bibliography:852835
ZZ00009680
ISSN:0015-6426
1882-1006
DOI:10.3358/shokueishi.54.198