木製地盤補強材の地中深さ毎の劣化状況(1)

環境に優しい木材を利用した木製地盤補強材は,加工・施工が容易なため近年多く使用されている。しかし,木材の地中での劣化に関する知見が少ないことから,多くのユーザーは古くからの経験則に基づき利用しているのが実情である。本研究では,木材の埋設深度と生物劣化の関係性を評価するため,木材保存処理剤を加圧注入処理した約2mの丸太杭と無処理の丸太杭について,一部が地上に露出するように埋設し,約5年経過後の生物劣化状況を深度毎に調査をおこなった。調査の結果,加圧注入処理した丸太杭は全深度において健全な状態を保持していたが,地下の材表面に蟻道跡が付着しており,その付着位置から地中でのシロアリの食害開始位置を推測...

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Published in木材保存 Vol. 47; no. 3; pp. 107 - 114
Main Authors ⻆谷, 俊和, 五十嵐, 盟, 手塚, 大介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本木材保存協会 2021
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ISSN0287-9255
1884-0116
DOI10.5990/jwpa.47.107

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Summary:環境に優しい木材を利用した木製地盤補強材は,加工・施工が容易なため近年多く使用されている。しかし,木材の地中での劣化に関する知見が少ないことから,多くのユーザーは古くからの経験則に基づき利用しているのが実情である。本研究では,木材の埋設深度と生物劣化の関係性を評価するため,木材保存処理剤を加圧注入処理した約2mの丸太杭と無処理の丸太杭について,一部が地上に露出するように埋設し,約5年経過後の生物劣化状況を深度毎に調査をおこなった。調査の結果,加圧注入処理した丸太杭は全深度において健全な状態を保持していたが,地下の材表面に蟻道跡が付着しており,その付着位置から地中でのシロアリの食害開始位置を推測することができた。蟻道の付着位置は地下0.5mまでが最も多く最深部でも地下1.0m まであることが確認された。また,無処理の丸太杭は,地下にて腐朽・食害がともに確認され,地下上部ではおおむね食害のみ確認された。特に,地際部分である地下0.5mの劣化は腐朽とシロアリの影響が著しかった。以上より,本研究では,埋設深度毎に生物劣化の状況が大きく異なることが確認され,地下0.5m までが最も生物劣化が発生しやすい範囲であることが明らかとなった。
ISSN:0287-9255
1884-0116
DOI:10.5990/jwpa.47.107