豚生殖器・呼吸器症候群ウイルスの分離とその血清学的性状

わが国で発生した肥育豚の慢性肺炎と繁殖豚の異常産の各症例から, 豚の肺胞マクロファージ細胞を用いて合計3株の豚生殖器・呼吸器症候群(PRRS)ウイルスを分離した. これらの国内分離株は, 間接蛍光抗体法(IIF)とIndirect immunoperoxidase mono-layer assayのいずれにおいてもアメリカで分離されたPRRSウイルスの46448株(米国株)とは強い交差反応を示すが, オランダで分離されたLelystad virus (欧州株)とは弱い交差反応しか示さなかった. さらに, 自然感染豚の血清を用いて, 上記の米国株, 欧州株および国内分離株に対するIIF抗体の検出...

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Published inJournal of Veterinary Medical Science Vol. 56; no. 5; pp. 891 - 894
Main Authors 村上, 洋介, 杉村, 崇明, 津田, 知幸, 両角, 徹雄, 加藤, あずさ, 三浦, 康男
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 公益社団法人 日本獣医学会 1994
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ISSN0916-7250
1347-7439
DOI10.1292/jvms.56.891

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Summary:わが国で発生した肥育豚の慢性肺炎と繁殖豚の異常産の各症例から, 豚の肺胞マクロファージ細胞を用いて合計3株の豚生殖器・呼吸器症候群(PRRS)ウイルスを分離した. これらの国内分離株は, 間接蛍光抗体法(IIF)とIndirect immunoperoxidase mono-layer assayのいずれにおいてもアメリカで分離されたPRRSウイルスの46448株(米国株)とは強い交差反応を示すが, オランダで分離されたLelystad virus (欧州株)とは弱い交差反応しか示さなかった. さらに, 自然感染豚の血清を用いて, 上記の米国株, 欧州株および国内分離株に対するIIF抗体の検出率と抗体価の変動を比較したところ, 国内分離株と米国株を抗原とした場合にはそれらの抗体検出率と抗体価の変動がほほ一致するのに対して, 欧州株を抗原とした場合には抗体検出率が低く, また抗体変動もほとんど認められなかった. 以上のことから, わが国でPRRSウイルスを分離し国内にPRRSの発生があることを明らかにするとともに, 国内流行株が米国株に近縁であることが示唆された.
Bibliography:502600
ZZ00004754
ISSN:0916-7250
1347-7439
DOI:10.1292/jvms.56.891