ホタテガイ Mizuhopecten yessoensis の環境変化に対する殻体運動の特徴

北海道サロマ湖におけるホタテガイ養殖環境モニタリング技術の確立に向けて,水温,濁度,溶存酸素および波高の変化に対する本種の殻体運動を,ホール素子センサーを用いて計測した。その結果,本種の殻体運動の波形は,出現するスパイクの形状と間隔により7つの特徴的なパターンに類型化できた。また,スパイクの振幅により,1)環境刺激からの逃避行動と推察される振幅約6mm のIおよび IV 型,2)外套腔の海水交換を目的とした行動と推察される振幅約1mm の III およびV型,3)前2者の両行動と推察される振幅約5mm の II,VI および VII 型の3グループに大別できた。さらに,各波形パターンの出現回数...

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Published inSuisan Zoshoku Vol. 64; no. 1; pp. 77 - 85
Main Authors 櫻井, 泉, 武田, 忠明, 前川, 公彦
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本水産増殖学会 01.03.2016
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Summary:北海道サロマ湖におけるホタテガイ養殖環境モニタリング技術の確立に向けて,水温,濁度,溶存酸素および波高の変化に対する本種の殻体運動を,ホール素子センサーを用いて計測した。その結果,本種の殻体運動の波形は,出現するスパイクの形状と間隔により7つの特徴的なパターンに類型化できた。また,スパイクの振幅により,1)環境刺激からの逃避行動と推察される振幅約6mm のIおよび IV 型,2)外套腔の海水交換を目的とした行動と推察される振幅約1mm の III およびV型,3)前2者の両行動と推察される振幅約5mm の II,VI および VII 型の3グループに大別できた。さらに,各波形パターンの出現回数を比較した結果,I型は水温上昇,III 型は高波浪,V型は高濁度および貧酸素,VII 型は貧酸素に晒された時に有意に増加することが示され,Iおよび III 型が2回/hr 以上,V および VII 型が1回/hr 以上検出された場合にホタテガイは上述の環境刺激を受けている可能性のあることが示唆された。これより,I,III,V および VII 型の出現回数を監視することにより,ホタテガイ養殖場の環境変化を察知することが可能と考えられた。
Bibliography:ZZ00008678
901906
ISSN:0371-4217
2185-0194
DOI:10.11233/aquaculturesci.64.77