天然色素抽出物によるヒメマルカツオブシムシ幼虫の食害抑制効果

天然色素の機能性究明の一環として、各種の天然色素抽出物で染色した羊毛布のヒメマルカツオブシムシ幼虫による食害量の関係を調査した。得られた結果は次のとおりである。1.紫根やウコンのように一部例外はあったが、多くの天然色素抽出物は食害を著しく抑制阻止する効果が認められた。2.ウコンを除く天然色素抽出物に共通して含まれる280nm付近に吸収をもつ水溶性の成分(物質)が食害抑制の主たる原因となっていると考えられた。3.ポリフェノール化合物のタンニン酸とエビカテキンは食害抑制と密接な関係があること、タンニン酸、カテキン類の付着量が大であるほど食害抑制効果は大きいことが推察された。4.クリキュラ繭に含まれ...

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Published inNihon sanshigaku zasshi Vol. 72; no. 2; pp. 55 - 63
Main Authors 秦, 珠子, 塚田, 益裕, 加藤, 弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本蚕糸学会 2003
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ISSN0037-2455
1884-796X
DOI10.11416/kontyushigen.72.55

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Summary:天然色素の機能性究明の一環として、各種の天然色素抽出物で染色した羊毛布のヒメマルカツオブシムシ幼虫による食害量の関係を調査した。得られた結果は次のとおりである。1.紫根やウコンのように一部例外はあったが、多くの天然色素抽出物は食害を著しく抑制阻止する効果が認められた。2.ウコンを除く天然色素抽出物に共通して含まれる280nm付近に吸収をもつ水溶性の成分(物質)が食害抑制の主たる原因となっていると考えられた。3.ポリフェノール化合物のタンニン酸とエビカテキンは食害抑制と密接な関係があること、タンニン酸、カテキン類の付着量が大であるほど食害抑制効果は大きいことが推察された。4.クリキュラ繭に含まれる280nm付近に吸収をもつ成分(物質)の含有量が食害量に影響を及ぼしている傾向が認められた。
Bibliography:ZZ00018606
680282
ISSN:0037-2455
1884-796X
DOI:10.11416/kontyushigen.72.55