デンプン食品中の水の移動を支配する要因

デンプン食品を加熱加工・調理する過程で水分分布がFickの拡散方程式では記述し難い複雑な挙動を示すことを磁気共鳴画像法により明確に示した。この原因を解明するためにデンプン食品の吸水特性を支配する因子について新しい視点から研究し次の結論を得た: (1) 糊化という用語の使われ方による混乱がある (2) 糊化反応を終末糊化度の視点で捉えるべき (3) 終末糊化度の含水率・温度依存性の把握が大切 (4) デンプン食品中の水分移動を支配するのは天井含水率 (デンプン食品の水保持能力) である。天井含水率 (終末糊化度の関数) が均一であれば均一相でありFickの拡散方程式は適用可能である。しかし、食品...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inJapan Journal of Food Engineering Vol. 5; no. 3; pp. 143 - 151
Main Author 渡辺, 尚彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本食品工学会 15.09.2004
Online AccessGet full text
ISSN1345-7942
1884-5924
DOI10.11301/jsfe2000.5.143

Cover

More Information
Summary:デンプン食品を加熱加工・調理する過程で水分分布がFickの拡散方程式では記述し難い複雑な挙動を示すことを磁気共鳴画像法により明確に示した。この原因を解明するためにデンプン食品の吸水特性を支配する因子について新しい視点から研究し次の結論を得た: (1) 糊化という用語の使われ方による混乱がある (2) 糊化反応を終末糊化度の視点で捉えるべき (3) 終末糊化度の含水率・温度依存性の把握が大切 (4) デンプン食品中の水分移動を支配するのは天井含水率 (デンプン食品の水保持能力) である。天井含水率 (終末糊化度の関数) が均一であれば均一相でありFickの拡散方程式は適用可能である。しかし、食品中で天井含水率が分布している場合は多重異相系でありFickの拡散方程式は適用できない。多重異相系に適用可能なモデルとしてWater Demand (WD) モデルを提唱した。さらにWDモデルを発想の道具として使い麺・米に新規な特性をもたせる方法を発明した。
Bibliography:ZZ20014033
710971
ISSN:1345-7942
1884-5924
DOI:10.11301/jsfe2000.5.143