フミン物質濃度と透明度の関係の計算画像による推計

湖沼の透明度に対する溶解性汚濁物質の影響を把握するため,清澄な自然水で代表的な溶解性物質であるフミン物質に着目し,計算画像を目視する方法で濃度と透明度の関係を推計した。フミン酸とフルボ酸の濃度0~20 mgC L-1で既知の光吸収係数を用い,光源の入射角40 度で,水の分子散乱を一次で近似して,Secchi円板と背景の放射輝度を計算し,この画像を目視した透明度(以下,「CISD」という。)を測定した。フミン酸のCISDは,濃度ゼロで126 m,濃度0.0047 mgC L-1で78 m,0.005 mgC L-1で極小60 m,増加して0.02 mgC L-1で極大68 mとなり,濃度20 m...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inRikusuigaku zasshi Vol. 84; no. 1; pp. 1 - 18
Main Author 佐藤, 信也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本陸水学会 25.02.2023
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:湖沼の透明度に対する溶解性汚濁物質の影響を把握するため,清澄な自然水で代表的な溶解性物質であるフミン物質に着目し,計算画像を目視する方法で濃度と透明度の関係を推計した。フミン酸とフルボ酸の濃度0~20 mgC L-1で既知の光吸収係数を用い,光源の入射角40 度で,水の分子散乱を一次で近似して,Secchi円板と背景の放射輝度を計算し,この画像を目視した透明度(以下,「CISD」という。)を測定した。フミン酸のCISDは,濃度ゼロで126 m,濃度0.0047 mgC L-1で78 m,0.005 mgC L-1で極小60 m,増加して0.02 mgC L-1で極大68 mとなり,濃度20 mgC L-1の0.28 mまで減衰した。フルボ酸も同様の傾向であった。この変化には,色の変化が見かけの明るさに影響する効果が関与していると考えられた。減衰する領域に限って区間を分割して関数近似を行ったところ,CISDに対する近似値の相対誤差の平均二乗平方根は,すべての区間で0.03以下であった。
Bibliography:947426
ZZ00016414
ISSN:0021-5104
1882-4897
DOI:10.3739/rikusui.84.1