悪性黒色腫の心臓転移により完全房室ブロックをきたした犬の1例

爪床悪性黒色腫の心臓転移がみられた犬の完全房室ブロック(CAVB)症例について,ブロック発生の形態学的基盤を明らかにすべく,心臓刺激伝導系を中心に詳細な病理学的検索を施した.本例は,死亡する11カ月前に右前肢の第5指に発生した悪性黒色腫の外科的切除術を受けていた.剖検時,心臓の割面では暗褐色〜黒褐色の腫瘍組織が,心筋層内に多発性の増殖病巣を形成していた.病巣部の組織学的検索により,悪性黒色腫の心臓転移と診断された.腫瘍性のメラノサイトは房室接合部領域にも重度に浸潤しており,房室結節は完全に消失していた.この病的機転はヒス束貫通部をも巻き込んでおり,当該部位の伝導系細胞は全長にわたって消失してい...

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Published inNippon Juishikai zasshi Vol. 72; no. 3; pp. 162 - 166
Main Authors 佐々木, 崇文, 町田, 登, 田中, 茂喜, 石黒, 奈央, 浦野, 孝太郎, 小山, 秀一, 木村, 勇介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本獣医師会 20.03.2019
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ISSN0446-6454
2186-0211
DOI10.12935/jvma.72.162

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Summary:爪床悪性黒色腫の心臓転移がみられた犬の完全房室ブロック(CAVB)症例について,ブロック発生の形態学的基盤を明らかにすべく,心臓刺激伝導系を中心に詳細な病理学的検索を施した.本例は,死亡する11カ月前に右前肢の第5指に発生した悪性黒色腫の外科的切除術を受けていた.剖検時,心臓の割面では暗褐色〜黒褐色の腫瘍組織が,心筋層内に多発性の増殖病巣を形成していた.病巣部の組織学的検索により,悪性黒色腫の心臓転移と診断された.腫瘍性のメラノサイトは房室接合部領域にも重度に浸潤しており,房室結節は完全に消失していた.この病的機転はヒス束貫通部をも巻き込んでおり,当該部位の伝導系細胞は全長にわたって消失していた.このような房室伝導系病変が,インパルスの房室伝導を遮断したものとみなされた.
Bibliography:927349
ZZ00014801
ISSN:0446-6454
2186-0211
DOI:10.12935/jvma.72.162