環境学の性質の分析―環境学を「環境や環境問題に関する総合的・体系的な科学・学問・研究」とする文献を対象として

近年,環境学の研究が活発化している。だが,研究状況全体からみて,未だ,環境学の学術的な性質(専門の研究領域として環境学を特徴づける性質)があいまいなままに研究が続けられている。このことから,学術用語「環境学」の意味を「環境や環境問題に関する総合的・体系的な科学・学問・研究」とする著書・論文等を取り上げ,「目的」,「研究対象」,「研究方法」,「その他」から分析し,環境学の学術的性質として明らかにすることにした。 その結果,環境学の(1)「目的」は,環境問題を解決することや環境問題を未然に防止することを含めて「よりよい環境を実現する理論を提示すること」,(2)「研究対象」は,「人間とその環境(相互...

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Published in環境科学会誌 Vol. 18; no. 1; pp. 41 - 51
Main Author 西川, 祥子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 環境科学会 2005
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Summary:近年,環境学の研究が活発化している。だが,研究状況全体からみて,未だ,環境学の学術的な性質(専門の研究領域として環境学を特徴づける性質)があいまいなままに研究が続けられている。このことから,学術用語「環境学」の意味を「環境や環境問題に関する総合的・体系的な科学・学問・研究」とする著書・論文等を取り上げ,「目的」,「研究対象」,「研究方法」,「その他」から分析し,環境学の学術的性質として明らかにすることにした。 その結果,環境学の(1)「目的」は,環境問題を解決することや環境問題を未然に防止することを含めて「よりよい環境を実現する理論を提示すること」,(2)「研究対象」は,「人間とその環境(相互関連性を含む)」,(3)「研究方法」は,「環境や環境問題に関する要素を分析し,関連づけ・総合・評価すること」,(4)「その他」の性質は,「要素還元主義の見直し」,「環境に関する知識,方法,学問の体系化」,「人文・社会・自然科学の融合」,「個人で学際研究をすること」,にあることがわかった。
ISSN:0915-0048
1884-5029
DOI:10.11353/sesj1988.18.41