佐渡海峡周辺におけるマガレイ卵・仔魚の輸送に対する風の影響の数値シミュレーション

マガレイは、北海道から瀬戸内海に至る我が国の沿岸域に広く分布し、底曳網や刺網漁業にとって重要な対象資源となっている。一般にカレイ類の生活史においては、変態・着底以前に浮遊期が存在し、卵・仔魚は産卵場周辺の流れによって移送、拡散された後、浅海域の成育場に着底し資源に加入する。したがって、この浮遊期間に成育場に到達できるかどうかが、年々の加入量を決定する重要な要因の一つとなっている。日本海の佐渡海峡周辺の陸棚域にはマガレイの産卵場があり、卵・仔魚は沿岸流によって産卵場から北ないし北東に輸送されるといわれている。一方、マガレイの成育場(着底場)は、後述するようにこの陸棚上の浅海域(水深100m以浅)...

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Published in日本水産工学会誌 Vol. 32; no. 3; pp. 219 - 228
Main Authors 中田, 英昭, 永澤, 亨, 末永, 慶寛, 藤原, 藤原正幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本水産工学会 1996
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ISSN0916-7617
2189-7131
DOI10.18903/fisheng.32.3_219

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Summary:マガレイは、北海道から瀬戸内海に至る我が国の沿岸域に広く分布し、底曳網や刺網漁業にとって重要な対象資源となっている。一般にカレイ類の生活史においては、変態・着底以前に浮遊期が存在し、卵・仔魚は産卵場周辺の流れによって移送、拡散された後、浅海域の成育場に着底し資源に加入する。したがって、この浮遊期間に成育場に到達できるかどうかが、年々の加入量を決定する重要な要因の一つとなっている。日本海の佐渡海峡周辺の陸棚域にはマガレイの産卵場があり、卵・仔魚は沿岸流によって産卵場から北ないし北東に輸送されるといわれている。一方、マガレイの成育場(着底場)は、後述するようにこの陸棚上の浅海域(水深100m以浅)にあると推定されており、陸棚から沖合に運ばれることなく、着底直前にこの成育場に到達することが、加入のための必要条件となっている。しかしながら、主な産卵期である冬期(2~3月)には流れの観測資料が非常に乏しく、産卵場から成育場への輸送状況やその年々の変動に関与する要因はほとんど明らかになっていない。そこで本研究は、この新潟県沿岸におけるマガレイを対象として、産卵場から着底場への輸送機構について、数値シミュレーションモデルを用いた検討を行い、特に卵・仔魚の輸送や着底場への到達確率に対する風の効果を定量的に評価しようとした。
Bibliography:660357
ZZ00011795
ISSN:0916-7617
2189-7131
DOI:10.18903/fisheng.32.3_219