(1) ストロンチウム抽出カラムを用いた緊急時に適用可能な食品中のストロンチウム90 (Sr-90) 迅速分析法の確立

原子力災害のような緊急時における食品の安全性確保のために, 実用性の高いストロンチウム90(Sr-90)の迅速分析法を確立した. 市販のストロンチウム(Sr)抽出カラムを使用することで食品からSrを精製する工程を簡素化し, またSr-90と子孫核種であるイットリウム90(Y-90)の放射平衡を待つ時間を短縮することによって, 従来法の1/4の期間(約1週間)で食品中のSr-90分析が可能となった. 確立した迅速分析法における安定Srの回収率は85%以上であった. また, Sr-90の推奨値が付与された標準試料を用いた性能評価において真度が109~115%, 検出下限値が0.07Bq/kg生と推...

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Published inShokuhin eiseigaku zasshi Vol. 60; no. 2; pp. 7 - 16
Main Authors 鍋師裕美, 堤智昭, 松田りえ子, 蜂須賀暁子, 穐山浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本食品衛生学会 25.04.2019
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ISSN0015-6426

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Summary:原子力災害のような緊急時における食品の安全性確保のために, 実用性の高いストロンチウム90(Sr-90)の迅速分析法を確立した. 市販のストロンチウム(Sr)抽出カラムを使用することで食品からSrを精製する工程を簡素化し, またSr-90と子孫核種であるイットリウム90(Y-90)の放射平衡を待つ時間を短縮することによって, 従来法の1/4の期間(約1週間)で食品中のSr-90分析が可能となった. 確立した迅速分析法における安定Srの回収率は85%以上であった. また, Sr-90の推奨値が付与された標準試料を用いた性能評価において真度が109~115%, 検出下限値が0.07Bq/kg生と推定されたことから, 緊急時に必要な分析感度と迅速性を両立した分析法であることを確認した. さらに食品試料への適用性の検討により, 確立した迅速分析法で得られた分析値が, 従来法で得られた分析値と良好な相関性を示し, かつ近似した値となることを確認した.
Bibliography:ZZ00009680
927761
ISSN:0015-6426