農産食品素材の腸内環境改善効果に関する基礎的研究 (令和2年度日本栄養・食糧学会学会賞受賞)
「要旨」: 腸内環境はヒトの健康に大きく関わっている. 本研究では農産食品素材が腸内環境を改善する効果について検証した. まず小豆等に含まれるレジスタントスターチは盲腸内で短鎖脂肪酸を増加させ, コレステロールや脂質代謝改善効果をもたらした. さらに迅速に腸内発酵特性を検討できるin vitro腸内発酵実験モデルを構築した. その結果, 食品素材の影響や腸内発酵の経時的変化を短期間で調べることが可能となり, in vivoモデルと同様な結果も得られた. 最後に化学修飾したヒドロキシプロピル(HP)-澱粉により, 腸内細菌叢ではβ多様性がHP-澱粉と通常澱粉で異なる細菌叢組成を示した. その結果...
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Published in | Nihon Eiyō, Shokuryō Gakkai shi Vol. 74; no. 1; pp. 3 - 8 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本栄養・食糧学会
10.02.2021
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0287-3516 |
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Summary: | 「要旨」: 腸内環境はヒトの健康に大きく関わっている. 本研究では農産食品素材が腸内環境を改善する効果について検証した. まず小豆等に含まれるレジスタントスターチは盲腸内で短鎖脂肪酸を増加させ, コレステロールや脂質代謝改善効果をもたらした. さらに迅速に腸内発酵特性を検討できるin vitro腸内発酵実験モデルを構築した. その結果, 食品素材の影響や腸内発酵の経時的変化を短期間で調べることが可能となり, in vivoモデルと同様な結果も得られた. 最後に化学修飾したヒドロキシプロピル(HP)-澱粉により, 腸内細菌叢ではβ多様性がHP-澱粉と通常澱粉で異なる細菌叢組成を示した. その結果HP-澱粉が盲腸内短鎖脂肪酸を増加させ, 血漿グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1), ムチン量, 免疫グロブリンA(IgA)量との間に正の相関がみられ, GLP-1は摂食量, 腸間膜脂肪面積との間に負の相関にあった. これらの研究成果は腸内環境改善に関する基礎的研究であるが, 人々の健康長寿の維持・増進に貢献できることを期待する. |
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Bibliography: | 937045 ZZ00014795 |
ISSN: | 0287-3516 |