食品成分による褐色脂肪の活性化と抗肥満効果に関する研究

「要旨」: 褐色脂肪組織(BAT)は寒冷刺激に応じて活性化して熱産生を行い, 体温と体脂肪量の調節に寄与する. ヒトのBATは加齢とともに機能低下して肥満の一因になるが, 慢性的な寒冷刺激により再活性化が可能で, その結果, 体脂肪が減少する. 寒冷刺激の効果は, 温度感受性TRPチャネルの刺激活性を有する食品成分を経口摂取することで模倣できる. TRP刺激活性を有するカプシノイドや茶カテキンなどを単回摂取するとBAT熱産生が活性化し, 慢性摂取することによりBATの再活性化・増量が可能である. また, BATの熱産生活性を制御する因子として, 基質選択性の重要性が明らかになってきた. BAT...

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Published inNihon Eiyō, Shokuryō Gakkai shi Vol. 75; no. 6; pp. 297 - 304
Main Author 米代武司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本栄養・食糧学会 10.12.2022
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ISSN0287-3516

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Summary:「要旨」: 褐色脂肪組織(BAT)は寒冷刺激に応じて活性化して熱産生を行い, 体温と体脂肪量の調節に寄与する. ヒトのBATは加齢とともに機能低下して肥満の一因になるが, 慢性的な寒冷刺激により再活性化が可能で, その結果, 体脂肪が減少する. 寒冷刺激の効果は, 温度感受性TRPチャネルの刺激活性を有する食品成分を経口摂取することで模倣できる. TRP刺激活性を有するカプシノイドや茶カテキンなどを単回摂取するとBAT熱産生が活性化し, 慢性摂取することによりBATの再活性化・増量が可能である. また, BATの熱産生活性を制御する因子として, 基質選択性の重要性が明らかになってきた. BATの主なエネルギー基質は脂肪酸と糖であることが古くから知られるが, これに加えて分岐鎖アミノ酸の選択的な代謝分解が不可欠である. これらの知見は, 臨床応用可能な栄養学的介入によるBAT活性化法の確立, ひいては新たな生活習慣病予防法の考案に役立つ.
Bibliography:945706
ZZ00014795
ISSN:0287-3516