豚精液中の蛋白沈降因子に関する免疫学的考察

1.卵黄液を凝集させる豚精漿は,寒天ゲル内拡散法においても,卵黄液との間に明瞭な沈降線の形成を認めたが,他の家畜及び家禽の精漿とは反応を示さなかった。 2.卵黄液と沈降現象を起こす豚精漿は,牛,山羊及び鶏の血清とも,卵黄液と同様に沈降現象を起こした。また,自己および同種の血清とも沈降現象を起こした。 3.豚精漿を70°Cで30分間加熱処理しても卵黄液及び血清との沈降現象は失われなかったが,抗豚血清は70°C,10分の熱処理で完全に失活した。 4.沈降因子は洗浄した牛及び山羊精子,加熱処理精子,赤血球及びghostsによって吸収された。 5.牛及び山羊の精漿には豚精漿と卵黄液との沈降現象を阻止す...

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Published inKachiku hanshokugaku zasshi (Tōkyō. 1977) Vol. 23; no. 4; pp. 142 - 147
Main Authors 副島, 昭彦, 阿部, 恒夫, 枡田, 博司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本繁殖生物学会 01.12.1977
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ISSN0385-9932
DOI10.1262/jrd1977.23.142

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Summary:1.卵黄液を凝集させる豚精漿は,寒天ゲル内拡散法においても,卵黄液との間に明瞭な沈降線の形成を認めたが,他の家畜及び家禽の精漿とは反応を示さなかった。 2.卵黄液と沈降現象を起こす豚精漿は,牛,山羊及び鶏の血清とも,卵黄液と同様に沈降現象を起こした。また,自己および同種の血清とも沈降現象を起こした。 3.豚精漿を70°Cで30分間加熱処理しても卵黄液及び血清との沈降現象は失われなかったが,抗豚血清は70°C,10分の熱処理で完全に失活した。 4.沈降因子は洗浄した牛及び山羊精子,加熱処理精子,赤血球及びghostsによって吸収された。 5.牛及び山羊の精漿には豚精漿と卵黄液との沈降現象を阻止する作用が認められたが,鶏精漿では認められなかった。 6.卵黄液と明瞭な沈降現象を認めた精漿を産出した雄豚の血清では,卵黄液との間に沈降現象を全く認めなかった。抗豚血清及び抗豚IgG血清を豚精漿に加えても沈降因子は吸収されなかった。また,卵黄液及び血清を100°Cで処理してもなお,豚精漿との沈降現象が認められた。 以上の結果から,寒天ゲル内における豚精漿と卵黄液との沈降現象は抗原抗体反応に類似した別の非特異的反応によるものであると考えられた。
Bibliography:ZZ00021434
162019
ISSN:0385-9932
DOI:10.1262/jrd1977.23.142