ラットにおけるミネラルの利用能におよぼす飼料中フィチン酸塩の影響
玄米中のIHPがZnや他のミネラルの代謝にいかなる影響をおよぼすかを知るために, ラットを用いて, 飼料中のIHP/Znのモル比10, Ca含量0.5%, タンパク質水準10%の餌を35日間与えて実験を行なった。また同時に添加したNa-phytateの影響についても調べた。さらにミネラルとIHPとの複合安定性の強さを各pHで測定した。この結果を以下に要約する。 1) 玄米食区ラットの下肢左脛骨中のZnとCu, ひ臓中のFe, 血清中のCu含量は, 対照区より有意に低下しており, 玄米中のIHPにより飼料中のZn, Cu, Feの吸収が阻害されることを示した。 2) Na-phytate添加区ラ...
Saved in:
Published in | Nihon Eiyō, Shokuryō Gakkai shi Vol. 37; no. 1; pp. 77 - 84 |
---|---|
Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
01.02.1984
日本栄養・食糧学会 |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0287-3516 1883-2849 |
DOI | 10.4327/jsnfs.37.77 |
Cover
Summary: | 玄米中のIHPがZnや他のミネラルの代謝にいかなる影響をおよぼすかを知るために, ラットを用いて, 飼料中のIHP/Znのモル比10, Ca含量0.5%, タンパク質水準10%の餌を35日間与えて実験を行なった。また同時に添加したNa-phytateの影響についても調べた。さらにミネラルとIHPとの複合安定性の強さを各pHで測定した。この結果を以下に要約する。 1) 玄米食区ラットの下肢左脛骨中のZnとCu, ひ臓中のFe, 血清中のCu含量は, 対照区より有意に低下しており, 玄米中のIHPにより飼料中のZn, Cu, Feの吸収が阻害されることを示した。 2) Na-phytate添加区ラットのひ臓中のFe含量は, 対照区に比べて有意に低かった。この現象はひ臓のみで観察された。 3) 肝臓, 腎臓, 睾丸, 筋肉中のミネラル含量には, 玄米中のIHPあるいは添加したNa-phytateの影響は認められなかった。 4) モデル実験によるミネラルとIHPとの複合安定性の強さはpHによって変化し, pH7.0でCu>Fe>Zn>Ca>Mg, pH7.5でFe>Zn>Cu>Ca>Mg, pH8.0でFe>Zn>Mg>Cu>Caの順であった。これは本動物実験の結果を考慮する参考となるものと考えた。 |
---|---|
Bibliography: | 290278 ZZ00014795 |
ISSN: | 0287-3516 1883-2849 |
DOI: | 10.4327/jsnfs.37.77 |